。・*・。。*・Cherry Blossom Ⅵ《シリーズ最新巻♪》・*・。。*・。
「響輔っ!やめろって!!とにかく落ち着け!」俺は響輔とタイガの間に割って入り、まだ怒りで肩を震わせている響輔はタイガを睨みながら、「ちっ!」と舌打ち。
「お前、戒さんに救われたな。
戒さんがおらへんかったら、今頃大阪湾行きや。
それとも外をうろついているネズミに明け渡すか、お前のクビを狙ってるんは俺たちだけやない。ぎょうさん居るらしいからな」
響輔がドスを含ませて指さし、タイガはさっきの怖いまでの笑顔をすっかり消し去り、来たときと同じ作り物めいた微笑を浮かべ、襟元をちょっと正す。
「私の首をセリに掛けるかい?きっとUSドルで1,000以上はいくだろうね」楽しそうに笑い、落ちたカップの欠片の一つをつまみあげた。
「新しいコーヒーを持ってこさせよう。君たちのために高いコーヒー豆で淹れたが、勿体ないことになったな」
とタイガは呟き、席を立つ。
「それも経費で落とせるんやろ」と何とかペースを戻したい俺だが、タイガはそれに何も答えず
「コーヒー3つ」と来客室から顔だけを出し、きっと組員に頼んでいるのだろう、タイガの向こう側で
「兄貴、すごい怒鳴り声と音がしたんですが、大丈夫ですか」とちょっと緊迫した声が聞こえて
「ああ、大丈夫。気にしないで。ちょっと口論になっただけだから」
ちょっと…?口論??
色々突っ込みたかったが、態勢を立て直すのが先だ。
俺は額に手を置き、深くため息。
まさかタイガの攻撃が響輔に向くと言うことは予想をしていなかった。
新しいコーヒーがすぐに運ばれてきて、「仕切り直し」と言わんばかりにタイガは来たときと同様、向かい側のソファで脚を組み、真正面から俺たちを楽しそうに眺め
「守るものが出来ると―――ひとは弱くなる。
そう思わない?ヒツジちゃん」
と、今度は俺にターゲットを変えたのだろう同意を求められ、
今度は朔羅のことを餌に俺を怒らせようとしたと予想したが、そうはいくか。俺はある程度、朔羅のことを餌に俺に攻撃を仕掛けてくると思ったが、タイガの発言は意外なものだった。
「君たちには守りたいものがある。同時に私にもだ。
そこで提案だ。
どうだい?一時休戦しないかい?」