。・*・。。*・Cherry Blossom Ⅵ《シリーズ最新巻♪》・*・。。*・。



そう言えば、叔父貴と会うのは一週間ぐらいぶりだ。


前に会ったときは、確か千里のおばちゃんが不倫!?ってことを疑ってて、何かハプニング的な成り行きで、叔父貴と千里とおばちゃんとお茶したきりだ。


『めぐみの雨―――って言うのかな。


また突然に雨が降ることを―――祈ってるよ。


そしたらまた―――



お前と一緒に居られる気がする』


叔父貴の言葉が蘇る。




今日は雨が―――降っていない。




適当に入った居酒屋はチェーン店みたいで、あたしも目にしたことのある看板が掲げてあった。


入口をくぐると


「いらっしゃいませ!」と威勢の良いあんちゃんが出迎えてくれた。


「予約はしてない。二人だけど空いてるか?」と、叔父貴がちらりと奥に広がる店内を目配せすると


「二名様ですね。大丈夫です!どうぞ」とすぐに案内をしてくれる兄ちゃん。


その後についていく形になったあたしたちだが


「ふ~危なかったぜ。空いてないって言われたら、これで脅しかけようと思ったが」と叔父貴がちらりとスーツをめくり、黒光りするハジキをちらつかせ


ホント席が空いてて良かったぜ!!


と、あたしは内心で「ほっ」とため息。ふ~危ない、危ない。


てか、ハジキ見せないまでも叔父貴の眼力で店員もビビるはず!


ホント……歩く凶器だぜ。


通されたのは座敷席で、靴を脱いであたしたちはテーブルを挟んだ。


はじめての居酒屋で、あちこちをキョロキョロとしていると、店内は平日だと言うのに結構賑わっていた。仕事帰りのサラリーマンやOLもいたし、大学生ぐらいの男女が合コンみたいなのもやってる。


メニュー表を開くと、ずらりと字が並んでいて、ところどころ料理の写真が載ってた。


ポテトフライから唐揚げ、枝豆や刺身……って言うのは何となく定番みたいな感じだ。


メニューを見てると、店員さんがおしぼりを持ってきて


「お決まりですか?」とすかさず聞いてきて、てかまだメニュー見てるだるぉうが!どこに目ぇつけてやがる!


………


と口に出そうになって慌てて口を覆った。


ふ~いかんいかん。あたしも叔父貴とどっこいどっこいだ。


「生(ビール)一つ。お前は?」と聞かれて、とりあえず飲み物のことを聞かれてるってことは理解した。


「あ、あたしはオレンジジュース」と慌てて何とか答えると


店員さんは厨房だと思われる所に向かって


「生一丁ぅ!オレンジ一丁ぉ!」とこれまた威勢よく叫んでいる。


い、居酒屋って勢いハンパねぇな。


いきなり洗礼を受けた気がするぜ!



< 114 / 423 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop