。・*・。。*・Cherry Blossom Ⅵ《シリーズ最新巻♪》・*・。。*・。
電話の相手が気になった。
叔父貴は顔をしかめる……感じじゃなくどこか不機嫌そう。
だ、誰だろう。
益々気になって、あたしはうまいはずのだし巻き卵の味がわからなくなった。
そんな不機嫌になる相手って……
やっぱタチバナなんだろうか。と勘ぐっていると叔父貴はタバコを取り出し一本に火を灯し、こそこそ隠れることなくあたしの目の前で通話をはじめた。
「Да. 」とか「Конечно. 」と頷きながら会話をしていたが、途中で爽やかに笑い声を上げて
「Спасибо. До свидания.(スパスィーバ ダ スヴィダーニャ)」
と言って通話を切った。
な、何語!?
聞き慣れない言葉は宇宙語に聞こえた。
相手はタチバナじゃなくて、まさかの宇宙人!?
(※注:ロシア語です)
叔父貴はスマホをテーブルに置き、さっきの爽やかさはどこへ!?ってなぐらい、忌々しそうに眉間に皺を寄せ
「次回からスベトラーナとは取引き中止だ。なかなかいい女だったが、アメリカのマフィアを敵には回したくない」
す、スベ……?何とかは女ってことか……
じゃなーーーーい!!
叔父貴の話まさに『滑らない話』だぜ!
アメリカ!マフィア!?
「ロシアの武器商人だ。本人は隠してるようだが間違いなく二重契約だ。鴇田にすみやかに契約破棄の手続きをさせよう」
と叔父貴は煙を吐き、間を置かずまた次の電話に叔父貴はうんざりしたようにスマホを睨み
それでも取らざるは得ない相手なのだろう、あたしに軽く手をあげ
「晚上好、龍崎。好久不见。一切都好吗? 给你添麻烦 ,很抱歉。」
ま、また宇宙語!?
(北京語です)
どうやら叔父貴は通話を終えたようで、にこやかに通話していたのと反対で、スマホを再びテーブルに乗せると同時にため息とともに深く煙を吐き出し
あたしが何も聞いてないのに
「香港マフィアだ。こっちは武器の裏ルートを変えてくれって。
正規ルートじゃなかったから俺も目を瞑っていたが、これ以上危険な橋は渡れない。
こっちも契約破棄だな」
と、あっさり。
聞きたくなかったぜ!
今度は香港マフィア!!てかそのマフィアたちと繋がってる時点で充分危険な橋渡だっ!
隣に居たサラリーマンらしき男たちは、もはや目を点。あたしと目が合うと慌ててスーツの上着をひっつかみ逃げるように立ち去っていった。
ああ、待って~あたしの「ふうー」!!!