。・*・。。*・Cherry Blossom Ⅵ《シリーズ最新巻♪》・*・。。*・。
「でも厄介なのはタクもリコのこと好きなんだよね」
と声を潜めると、叔父貴はまたも驚き
「あいつもか」と苦笑い。
「まぁタクもユズも悪いヤツじゃないが、でもやっぱカタギの娘さんはな~…」
「どっちとも付き合わねぇよ。言っただろ?失恋したばっかだからって」
「恋に破れたのなら、新しい恋が癒してくれるさ」
と叔父貴はユズの方を気にしながら言う。
「新しい恋って言っても相手があれじゃ…
てか、叔父貴は誰かと付き合わないの―――……?」
言ってから、すぐに無神経だと思った。
叔父貴が言ってくれた言葉。
『愛してる』
て何度も、何度も―――
あたしは、その言葉が本当に意味するものも理解できないのに…
そしてそれに応えられないあたしが言う言葉じゃない。
叔父貴はちょっと悲しそうに微苦笑しただけだった。
「……ごめ…」
と言って顔を離そうとすると
「お前が気にすることじゃない」と叔父貴はまた切なそうに笑った。
気づいたら、あたしと叔父貴の顔の距離が近かったことにびっくりした。
すぐ目の前……互いの吐息を感じられるぐらい。
叔父貴の美しい顔が目の前に…
ぅわぁ!!
慌てて体を戻そうとしたが、叔父貴がちょっとあたしの腕を引っ張って
「ユズに見つかるぞ」
と小声で咎めて、ユズの方を気にしている。
はっ!……そーだった…
てか、あたしが何でコソコソしなきゃなんねぇーんだよ!
半ば逆切れで、メニュー表から顔を出すと、ユズ一人……女の姿が見えなかった。