。・*・。。*・Cherry Blossom Ⅵ《シリーズ最新巻♪》・*・。。*・。
キリの登場も強烈だったが、その名前はそれ以上に強烈なものだった。
俺は思わず鴇田と顔を見合わせた。
「玄蛇?確か―――滅亡した筈だが。
その名を引っ張ってきて印象付けようとしていたのなら、もくろみは失敗だな。
今日の面談は終わりだ。お引き取り願おう」
と鴇田が皮肉を込めて扉の方を手で促すと、キリは面白く無さそうに長机に手を付き、色っぽく腰を突き出す。
「あら、信じる信じないはご自由にどうぞ。
それに別に印象付けたわけじゃないですわ。
私は私がここで働きたい、と思ったから来ただけ」
見たまんま勝気なキリに俺が
「じゃあ仮にもお前が本物の玄蛇だったとしよう。狙いは何だ」
聞いた。
玄蛇は玄武が抱える暗殺集団と言うことは知っていた。だが、あくまで噂で、その噂自体が伝説じみている。
だが極道界では結構有名な名前だ。
“スネーク”はもちろんコードネーム、通り名のようなもので以前は玄武お抱えの殺し屋だったが、今はどこにも属していない。言わばフリーランスと言うことだ。
金を払えばどんな殺しでも請け負う―――と言うのは噂にしか過ぎない。