。・*・。。*・Cherry Blossom Ⅵ《シリーズ最新巻♪》・*・。。*・。
苛立った面持ちでバッグに着替えや化粧品を詰め込んでいると
ピンポーン
と、ホテルの部屋のインターホンが鳴った。
あたしとマネージャーは同じタイミングで顔を合わせた。
「誰かしら」
「さぁ、ルームサービスじゃない?見てきてよ。あたしは明日の準備で忙しいから」
最初は鬱陶しいマネージャーと一緒って所に嫌気がさしたが、今となってはちょっとした便利屋みたいで使い勝手がいい。
マネージャーは言われた通り扉まで行くとドアスコープから外を覗いていた。
「誰もいないわ」
と、怪訝そうに振り返り
「部屋でも間違えたんじゃない?」とそっけなく言い、
「でもこのホテル、このフロアはyou、あんたが使ってるデラックススイートだけよ」
とマネージャーは眉をしかめる。
「じゃぁ階数を間違えたんじゃない」
化粧水と、乳液と、美容液と……あ!パックも持っていかなきゃ!と準備にいそしんでいたからあたしはマネージャーの言葉なんてそれほど深く考えてなくて
「でも……あら?」
とマネージャーはかがんで床から何かを取りあげる。
「you、何か部屋に滑り込まされたわ。バレンタインカードみたいね…」
と、マネージャーは二つ折りのピンクの小さなカードを持ってきて
「まさかあなた、ここを誰かに突き止められたりしてないわよね。熱狂的なファンかもしれないわ」とマネージャーがカードを開けようとして、それより早くあたしはマネージャーからカードを奪った。
「人のモノを勝手に見るなんて悪趣味ね」
「だけど女優のファンレターはマネージャーが先に目を通すのが常識よ」とマネージャーも負けじと言い腰に手を当てる。
「あたしはまだそんなに売れてないでしょ。それにこんな小さなカードに爆弾なんてしこめないわ」と言い、それでもカードを開ける時はちょっと緊張した。
さっき、マネージャーからちらりと聞いた『刑事』の話が忘れられない。あの美しい刑事が次の一手を投じてきた、と言うのが容易に想像できた。
恐る恐る、開くと
“『エタニティ』を飲みながら、スカイラウンジで待ってる。
S”
となっていてあたしは目を開いた。