。・*・。。*・Cherry Blossom Ⅵ《シリーズ最新巻♪》・*・。。*・。
響輔は王子ってキャラじゃないし、時々ヤクザ丸出しだし、怒らせると怖いし、普段何を考えてるのか謎だし、究極のマイペースだし。
ホント……あたし、何で響輔を好きになったんだろう。
でも―――響輔じゃないとイヤ。響輔じゃないとダメなの。
「私にとって、どうやら鷹雄 響輔はアクセルにもブレーキにも成り得るってことか」
玄蛇が頬杖を付きながらぼんやりと窓の外を眺めていて
「は?」
意味が分からず顔を歪めると
「鷹雄 響輔が君を愛するのなら、君を裏切らないのであれば
私は彼に手を出さない。
何故なら
君を悲しませたくないから。君の悲しむ姿を見たくないから。
だがしかし、君を泣かせるのなら、君を裏切るのなら
私は容赦しない」
玄蛇は真剣な顔つきで低く言い、
ドキリ
あたしの心臓が強く鳴った。
あたしは響輔の前で泣いてばっかり。この先もきっと何らかの理由で泣くだろう。
それが容易に想像できる。
でもあたしの心臓が鳴った理由は―――違う所にある気がした。
「何それ。あんたいつから詩人に転職したの」とあたしが強引に笑うと
「私は何の職業にでもなれるよ」と玄蛇はいつもように笑顔を張りつける。
「でも
君の大切なひとには
なれなかったみたいだ」
玄蛇が少しだけ悲しそうに笑う。
こいつはあたしを愛するのをこれきりにする、と言った。
『なれなかった』の言葉は玄蛇の言った通り、過去形だ。
やめてよね、そんな顔。そんな……顔……されるとどう返していいのか分からなくなる。