。・*・。。*・Cherry Blossom Ⅵ《シリーズ最新巻♪》・*・。。*・。
「椅子取りゲームは負けたな。はじめての負けだ」
玄蛇はいつもの調子で軽く笑い、その笑顔を見て少しだけほっとした。
「たまにはいいんじゃない?」
「勝てないと分かっていても、挑んでいきたい―――久しぶりだな、こんな気持ち。
青臭いけど、こうゆうのも悪くない。自分が若返った気分だ」
玄蛇は言葉とは裏腹に穏やかに微笑んでいる。
「気分だけ、ね。流石に現役大学生には適わないが。それにやはり私は負けず嫌いだから、負けると分かっている勝負には挑まないだろう」と、玄蛇はへらっと笑い
あたしは肩をすくめてみせた。
「まぁ、そもそも私は君の射程外だ。
君は虎間 戒に転ぶかと思いきや、意外なところにいったな」玄蛇は不思議そうにちょっと首を傾け
「賭けは負け?大損ね」と皮肉を込めて言ってやると
「私はそもそもギャンブラーじゃない。賭け事に強いのはもっぱら
虎間 戒だろうね―――
彼はロイヤルストレートフラッシュを出せる」
ロイヤルストレートフラッシュ?あのポーカーの??
またも脈略のない会話な気がしたけれど、玄蛇はそう見せかけていつも重要な何かを伝えてる。
虎間 戒の動きを気にしてる―――ってこと?
あたしが目を細めて玄蛇の様子を窺っていると、玄蛇は最後のウィスキーを飲み干し
「そろそろ時間だろう?あのマネージャーが煩いんじゃないかい?」
と腕時計を指さし。
確かに、マネージャーの言った約束の30分が近づいていることに気づいた。