。・*・。。*・Cherry Blossom Ⅵ《シリーズ最新巻♪》・*・。。*・。
俺のお代わりで頼んだスコッチと大狼が注文したウォッカがそれぞれの手元に届いて
「知らなかったな、お前はずっと下戸だと思ってたが」
「誰が下戸だと噂を流したのか、最近では誰もがそう思っているから否定するのも面倒なんでそのように振舞ってはいますが
本当のところ、僕は無類の酒好きです。まぁ?酒も飲み過ぎると、“仕事”に支障をきたすので。
『酒で身を亡ぼす』か『女で身を亡ぼす』か。
あなたの場合、後者のようですが」
大狼はほんの少し伏せ目になって口の端で皮肉そうに笑みを浮かべていた。
「何が言いたい」
俺が低く聞くと
「いいえ、ちょっと意外な気がした、とだけ」
大狼はあやふやにはぐらかせる。
まぁ大狼にどう思われていようがいい。今はそれどころじゃない。
「会長から聞いているのでしょう?僕の“サイドビジネス”のことを」
大狼の方から切り出してくるとは思ってなかったから、ちょっと意表を突かれた。
「うちは原則、“副業は禁止”だ。ルールを破ったらどうなるかお前も知っているだろう」
俺がスコッチのグラスを傾けると
「だからですよ、ルールを破ったら一週間の謹慎のうえ減給。と言うわけで僕は明日から出社できません」
大狼はどこか楽しそうに笑って、ウォッカのグラスを傾ける。