。・*・。。*・Cherry Blossom Ⅵ《シリーズ最新巻♪》・*・。。*・。
俺は眉間を指でつまんで凝りをほぐしながら
「全て計算済み―――か……流石、凄腕の会計士なだけある。
この一週間の間で“身辺整理”でもするのか?」
今度は俺は皮肉る番だ。
「僕が証拠隠滅を企ていると?生憎だがそうじゃない。そもそもプロは証拠を残すことはしない」
大狼は余裕の淡い笑み。
「じゃぁ何だ」
「完全な私用ですよ。プライベートが立て込んでましてね」
どこまで本気なのだろうか。
ほんの少し疲れが滲んだ大狼の声に、ちらりとこいつの横顔を見ると、ここにきて大狼が余裕顏を消し去り、ちょっと眉を寄せた。
「まさに“身辺整理”ってことか」
大狼の方を見ていた俺は、興味がなさそうにまた前を向いた。
「……それがどう言ったものか、聞いてこないんですね。何故?」
俺も大狼も会話をしているのに互いに顔すら合わせない。傍から見たら不自然だが、ここになってようやく大狼の方が俺の方に顔を向けた。俺も大狼を見る。
「単に興味がないからだ。俺が言いたいことは一つだけ。
会長は、お前が一週間と言う期限の間約束を破らないか、何よりお嬢の身の安全を懸念されている。
お前が少しでも下手な真似をしたのなら、お前の首が跳ねられるぞ」
別に……大狼がスネークだったとしても、そうじゃなくても、こいつの身がどうなっても俺にはどうだっていいことだ。
「ご忠告どうも。それだけですか」
と聞かれて
「それだけでも大罪だ。もし会長の御寵愛深いお嬢の身に何かあったのなら
地獄を見るぞ」
これが本当の意味での忠告だ。