。・*・。。*・Cherry Blossom Ⅵ《シリーズ最新巻♪》・*・。。*・。
放っておいたらいつまでも喧嘩してそうな、二人に
「響輔、そこまでにしとき」
と、戒が腕を組んで呆れたように仲裁した。
キョウスケは戒に止められても、なかなか怒りが鎮火しないのか肩で荒く息をしながら、イチの方を睨んでいる。
一方のイチ―――は…
大きなサングラスを小さな顏から取り外し、その節にサラサラの長いハチミツゴールド…にも見えるしミルクティーのようにも見える髪がふわりと揺れる。
「虎間 戒―――…」
と呟いた。
てか女優てすげぇな!髪のなびき方まで決まってる!
じゃなくて!
一度…いや正確には三度程?イチの声を聞いたことがあるけれど、そのときはあんま色々考える余裕なんてなくて…改めてちゃんと聞くと、落ち着きのある低めな声がどこか色っぽい。
声や喋り方から、何もかもあたしとは正反対…(さっきの怒鳴り声はちょっと似てるかもだけど)
小さな顏に大きな目、そのほかのパーツは全体的に小作りで、そのどの部分もしっくりとくる
超絶……美人だった。
いや、前からテレビや雑誌で目にしてたから今更改めて思うことではないが、
でも、今までの、どのシーンよりも実物の方が遥かに―――きれい…
白のシンプルTシャツの上に、黒い薄めの素材のニットガウン、そしてスカートは……
パンツ見えそっ!てなぐらい短い丈の…上品な色落ちしたデニムミニ。
そこから眩しい程のきれいな脚が覗いている。
「デルモ!?(モデル)で、響輔の兄貴の…」とキモ金髪がイチとキョウスケの方を忙しなくいったりきたりさせ、次いで隣に居るリコをちょっとだけ気にする。
千里は言葉も出せないのかぽかんと口を開けていたし、
「ぅわ~!すっごいキレイな人だねっ」と事態を知らないエリナがあたしに意見を求めてきて、でもそれに素直に「うん」とは答えられなかった。
無言のリコの方を気にすると、リコが一歩前に出た。
「リコ……」
リコがイチに何かをする激しい女とは思わないけれど、ちょっと心配になってリコの後ろから声を掛けると
「あの!」
リコはイチに声を掛け、その声は思いのほか大きくて、全員がリコの方を見た。
イチは怪訝そうにリコを見下ろしていて
視線が集中してるってことに気づいていないのか、リコはイチをまっすぐ見つめ、すっと両手を差し出した。
え……?
「youさんですよね!!はじめましてっ!
あの、ファンです!
握手してください!」
ぇえーーー!!?