。・*・。。*・Cherry Blossom Ⅵ《シリーズ最新巻♪》・*・。。*・。
「ファン?あたしの?」とイチは少し怪訝そうにしてたものの
「はい!前にフレガで出てたときから…あの!お姉ちゃんが雑誌持ってて、あたしも見て」
そうだった…
最初にイチが何者であるか教えてくれたのもリコだった。
「リコさん……気を遣わなくてもいいですよ」
とキョウスケがバツが悪そうにこめかみを掻く。
「リコ……?」
イチがちょっと目を開いて、
「あ、はい!川上 理子って言います!」とリコは慌てて頭を下げ
「ふーん……あなたが…?」とイチはリコを観察するようにじろじろ。
「あんた、あんま威嚇せんといて。リコさん怖がっていはるやろ」とキョウスケがまた目を吊り上げる。
「別に威嚇したわけじゃないわよ」イチはぞんざいに言って、顏をつんと背けるも
「あたしの……ファンでいてくれてありがと…」とイチはぶっきらぼうに言って、でもリコの手をきゅっと握って握手。
「サインとか欲しいのなら、どこかにするわよ?」と言い
「ホントですか!」とリコは勢い込む。リコの勢いにイチがちょっと引き腰で「え、ええ」と何とか頷き
「じゃ、じゃぁこのハンカチに!大事にします!」とリコはバッグからキチンとアイロンが行き届いた白いハンカチを取り出し、「あ!このときの為にマジックペンも持ってきたんです」と言ってペンも取り出した。リコ…準備がいいな…
イチはそれを素直に受け取り、サラサラと手慣れた手つきでリコのハンカチにサインを書く。
リコは―――ちょっと無理をしている感じだけど、それでもイチと言う存在を受け入れて前に進もうとしている。
その姿は、イチと負けず劣らずとてもきれいなものに思えた。