。・*・。。*・Cherry Blossom Ⅵ《シリーズ最新巻♪》・*・。。*・。
一瞬だけ不穏(?)って言うのかアレは…空気が流れたが、それも一瞬で終わり
「痛っ、ピーラー??で指切った」とキョウスケが指先を見ていて
「ドジね、そっちあたしがやるから、あんたは野菜でも洗ってて」と言い、手際の良いイチが煮魚を煮ている間、イチがキョウスケとタッチ交代でジャガイモの皮を剥いている。
最初はどうかと思ったけど、案外お似合いのカップルな気がした。
気になって後ろを振り向くと
「キャー!卵コゲちゃったぁ」とリコが口元に手を当てて
「ホントだ……作りなおす?」とエリナもちょっと苦笑い。
「火が強すぎたのよ、もう一回巻けばごまかせるわ」とイチがリコから卵焼き用のフライパンを取り、残った卵液をフライパンに流し込む。
やっぱ手際がいい。
あたしはその間、剥きあがったジャガイモと人参、玉ねぎと鶏肉でポトフを作っていたときだった。
「あなたも手際がいいのね」とイチが興味深そうに言ってきて
「あ。はい…小さい頃両親が亡くなったので、家事は一通りは」
と言うと
「そ?ならこの旅行は切り抜けられるわね。あの二人じゃまともなものが食べられそうにないわ」
と小声であたしの耳元でボソッ。
あの二人と言うのはリコとエリナのことだよな~
あはは…
あたしはちょっと苦笑。
でも―――何かやっぱ感じは悪くないな……
このひと、ホントにスネークにあたしたちの殺害を依頼して、それを実行しようとしてた人なのかな…
それとも
「響輔、どぉ?この味付け」と言って小皿に入れた煮つけ汁をキョウスケに手渡していて、それを受け取ると
「ん。ええんやない?」
「何よー、良いんじゃない?って、もっと美味しいとか、ないの?」
「あー、はいはい。うまいうまい」とキョウスケはぞんざいな態度だったが、二人ともちょっと笑顔。
イチがキョウスケのことを好きになって、キョウスケもイチのこと―――
二人の関係が変わった。
だからなのかな。