。・*・。。*・Cherry Blossom Ⅵ《シリーズ最新巻♪》・*・。。*・。


一瞬だけ不穏(?)って言うのかアレは…空気が流れたが、それも一瞬で終わり


「痛っ、ピーラー??で指切った」とキョウスケが指先を見ていて


「ドジね、そっちあたしがやるから、あんたは野菜でも洗ってて」と言い、手際の良いイチが煮魚を煮ている間、イチがキョウスケとタッチ交代でジャガイモの皮を剥いている。


最初はどうかと思ったけど、案外お似合いのカップルな気がした。


気になって後ろを振り向くと


「キャー!卵コゲちゃったぁ」とリコが口元に手を当てて


「ホントだ……作りなおす?」とエリナもちょっと苦笑い。


「火が強すぎたのよ、もう一回巻けばごまかせるわ」とイチがリコから卵焼き用のフライパンを取り、残った卵液をフライパンに流し込む。


やっぱ手際がいい。


あたしはその間、剥きあがったジャガイモと人参、玉ねぎと鶏肉でポトフを作っていたときだった。


「あなたも手際がいいのね」とイチが興味深そうに言ってきて


「あ。はい…小さい頃両親が亡くなったので、家事は一通りは」


と言うと


「そ?ならこの旅行は切り抜けられるわね。あの二人じゃまともなものが食べられそうにないわ」


と小声であたしの耳元でボソッ。


あの二人と言うのはリコとエリナのことだよな~


あはは…


あたしはちょっと苦笑。


でも―――何かやっぱ感じは悪くないな……


このひと、ホントにスネークにあたしたちの殺害を依頼して、それを実行しようとしてた人なのかな…


それとも


「響輔、どぉ?この味付け」と言って小皿に入れた煮つけ汁をキョウスケに手渡していて、それを受け取ると


「ん。ええんやない?」


「何よー、良いんじゃない?って、もっと美味しいとか、ないの?」


「あー、はいはい。うまいうまい」とキョウスケはぞんざいな態度だったが、二人ともちょっと笑顔。


イチがキョウスケのことを好きになって、キョウスケもイチのこと―――


二人の関係が変わった。



だからなのかな。





< 250 / 424 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop