。・*・。。*・Cherry Blossom Ⅵ《シリーズ最新巻♪》・*・。。*・。
*一結Side*
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.。*†*。. 一結Side .。*†*。.
「ちょぉ一結、来てん」と響輔に腕を引っ張られて、あてがわれた二階の寝室にあたしは押し込められた。
「ちょっ!響輔っ!急にどうしたって言うのよ!」
と喚いたが、響輔はあたしのその反撃を無視。
あたしを部屋に押し入れると、後ろ手に扉をパタンを閉め、照明を付けた。
暗かった部屋にがパッと明るくなる。
部屋は十五畳ぐらいで、中央にダブルベッド、出窓の近くにドレッサー、手前にチェストが置いてある。そのベッドに腰かけ
「頼むから、もう少し空気を読んでくれ」と額を押さえ深く吐息をつく響輔。
「ただでさえ厄介なのに…」と響輔は続けて
「厄介…?」
響輔の言葉はちゃんと聞こえたし、それがあたしに向けられたものだとすぐに理解できた。
「まぁ?普通に考えたら、響輔があたしを旅行に連れて行くなんてないわよね」
「ちゃう」
響輔はあたしの言葉に顔を上げ、だけどその目は相変わらず何を考えてるのか分からなかった。
何か言ってよ。じゃないと分からないわよ。
「だいたい、虎間 戒や朔羅とかその他に友達の中で、あたしが仲良くできるはずないし。
どうせあたしの監視をするためだけだったんでしょ」
あたしは床に置きっぱなしになっていたボストンバッグを取ると、そのバッグにつけていたテディが一緒に揺れた。その黒い目はどこか寂しげだった。
あたしだって寂しい。
ううん、悲しい―――泣きそうになるのを何とか堪える。
「どこ行くん?」とキョウスケが聞いてきて
「帰る。
良かったじゃん、あんたにとって長い"枕営業"になるだろうけど、短く終わって」
と、涙を呑み込みながら皮肉を込めて言ってやると、響輔は再び深いため息をつき額を押さえる。
「信じてないんは、あんたの方や。
俺が単にあんたの監視をするためだけに連れてきた、と?
そんなしち面倒なことせぇへんて。
つまり、俺やってそれなりに楽しみしてた。その気持ち疑われたら、おしまいや」
え――――……響輔も楽しみにしてた…?
「言うたやん。俺、自分の発言には責任持つって。
そう言う言い方はあれかもしれへんけど、ただ目の届くところに置きたいだけやったら別にここやなくてもええし」
響輔は無表情に吐息をつく。