。・*・。。*・Cherry Blossom Ⅵ《シリーズ最新巻♪》・*・。。*・。
でも…
厄介って言ってたし…
あたしはボストンバッッグのハンドルを持ち変えて、どうするべきか悩んでいたら…
「今から帰るんなら飲酒運転になるで」
と顔をあげた響輔が無表情に言う。
「あ、あたし……飲んでないもん」
またも可愛くないあたしが顏を出す。
飲んだフリして、『帰れない』口実を作るのなんて簡単なのに、その簡単なこともできない。
「今から、飲酒運転になる」
響輔の言葉の意味が分からず首を捻っていると、響輔は自分のボストンバッグから一本の缶を取り出し、それをあたしの方に放ってくる。
あたしはその缶を危うい手で何とかキャッチ。それは結構な重さで「何なのよ、もお」と思いながら
恐る恐る手の中の缶を見ると
イチゴ味のチューハイだった。
「え……?」
思わず聞き返すと
「一結に……あんたが好きそうやと思って、行きのSAで買うたんや。
そらならアルコール度数も低いし、かめへんやろ」
と響輔は相変わらず無表情。
あたしの為に―――……?
あたしが好きそうだったから?
ギシッ
ベッドのスプリングが軋む音を鳴らして
「要らへんのなら返して」と響輔が立ち上がり、あたしのチューハイに手を伸ばす。
「い、要らないなんて誰が言ったの!これはあたしが貰ったものだから!」
とイチゴ味のチューハイを抱きしめると、響輔は、クスッとちょっとだけ笑った。
「相変わらずジャイアン。前にもあったよな、こうゆうこと」
「な、何よ!下に正真正銘のシズカちゃんが居るじゃない。名前を何て言ったか……
エミ…エリ?それにあんたに想いを寄せてたっぽいリコって子も……あと、朔羅も居るし」
「新垣さんのこと?何……妬いとるん?」
「違っ!」と言わないうちに正面から抱きしめられた。