。・*・。。*・Cherry Blossom Ⅵ《シリーズ最新巻♪》・*・。。*・。
びっくり……した。
響輔の行動はまだあたしが完全に予想がつかないもので、いつになったら行動を分かるようになるのかな。
そして、いつになったら響輔の本心を見破れるのかな…
考えたって無駄だ。
あたしの手からボストンバッグが落ちた。
ドサっと床に落ち、またテディが揺れたけれど、あたしは拾い直すことなく、響輔も拾わなかった。
たださっき響輔から貰ったチューハイだけは大切に抱きしめたまま。
響輔はあたしの頭を抱き寄せ、響輔の胸の中
「俺ら喧嘩ばっかやね。あんま……女の子と喧嘩したことないから…ちょっと戸惑う。
ごめんな、うまくいかなくて。堪忍…」
ううん…と言う意味で頭を横に振り
「あたしも……」
「でも言いたい事言うのも大事なことかもな」
響輔は薄く笑った。
「うん」
あたしはおずおずと響輔の背中に手を這わせて、Tシャツ越しに響輔の体をきゅっと抱きしめた。
「俺が今言いたいこと……何やと思う?」
と、聞かれ、響輔の手があたしのTシャツの裾を捲りあげ、素肌に触れる。
その手はいつもと違って少しばかり熱をもったように熱い。
響輔の体温を感じただけで、ぞくりと首の後ろが粟だった。
「ゆ…夕飯食べ過ぎたかな~…とか…?」
わざとチャラけて言うと
「それもあるけどな。あんたの作ったカジキの煮つけ、うまかった」
響輔はちょっと笑って、笑う度に体が少しだけ揺れて、あたしは響輔のうなじに手を這わせた。
「食べたくなったらまた作ってあげる」
「あれもうまかったけど、今……俺は―――」
響輔があたしの髪をちょっとかきあげ、耳元でそっと
「鴇田さんに怒られるかも…」
と囁かれる。
響輔の熱い息が耳の奥まで伝わり、つま先から甘い痺れをきたす。
「やめてよ……旅行中に…父親のこと…」と何とか言うと
響輔はちょっと離れて真正面からあたしを覗きこみ、目があった。
「カジキより何よりも
一結が欲しい」
あたしも―――…
響輔が欲しい。