。・*・。。*・Cherry Blossom Ⅵ《シリーズ最新巻♪》・*・。。*・。
鍵を開けて中に入ろうとしていると
「う、うち、主人も私も働いてて…特に私の方は不規則なので、ついついこうゆうものに頼っちゃって…」と女は俯きながらも作り笑いを浮かべている。
はぁ…
俺は女に分からない程度にため息を吐き
「食事でも?付き合いましょうか。イチが問題でも?それとも喧嘩?」と提案すると
「喧嘩だったらどれだけマシか…」
女はくしゃりと前髪を掻き揚げ
「私……youに、本当に嫌われたかもしれません」
イチの専属女マネージャーは今にも泣きそうに伏せていた目を揺らし
いつも少々気が強すぎるぐらいの敏腕マネージャーの姿は欠片も見当たらなくて、何だか今日は酷く頼りなげだ。
このままここで帰すのも人としてどうかと思われた。
衛には人間として大切な何かが欠落している、と指摘されたが、これでも人並みの感情を持ち合わせている……つもりだ。
女を部屋に入れることに躊躇いを感じた。事実、ごく最近まで女を家に入れたことはなかった。
キリとの結婚を意識するまでは―――
だが、今はキリのことが少しだけ
見えなくなっている。
「そこじゃなんだから、とりあえずコーヒーでもどうですか」
俺は扉を開けて、顎をしゃくりマネージャーはその言葉にちょっと安堵したようだった。