。・*・。。*・Cherry Blossom Ⅵ《シリーズ最新巻♪》・*・。。*・。


誇張された文字の下、たまにCM等で見るアイドル女優の写真……どうやら整形前と整形後の写真らしい、が並べられて写されていて、


「これが何か?」俺は目だけを上げた。


アイドルのスキャンダルがイチにどう影響しているのか見当もつかない。


このアイドルは……たまにCMやバラエティ番組で目にしたことがある。飛び抜けて美女と言うわけでもなく、どちらかと言うと派手な顔立ちのイチとは対照的でナチュラルなイメージだった。


好みの問題もあるだろうし、この場合顏の造作は別として、俺はどうもあの女の声…と言うか喋り方が苦手だった。耳に障る、と言うのだろうか。


イチもお嬢もキリも、ついでに言うと彩芽さんも


俺の周りでは喋り方はそれぞれ違うが何事にもハッキリと物事を言うタイプだ。


さゆりと百合香だって、おっとりとしたお嬢様気質だったが、芯は強く、いかなる時でもその意思をしっかりと保っていた。


アイドルのことは…まぁ一言で言ってしまえば『甘ったるい』と言う所か…そこが男に媚びている感じを受けたのだ。


しかし、雑誌に書いてあるネタが事実であれば、風俗嬢だったと言うのはかなり驚きだ。見事な転職だな。


「見ていただきたい所はここから下です」


マネージャーのネイルが乗って居ない少し乾燥気味の爪が紙面をなぞり、俺は指された場所を目で負った。


『アイドルグループリーダーのルミは気に入らないと言う理由だけで、女優Yを降板まで追いやった。


脚本には最後の回までYが登場するものの、ルミが書き替えさせた、と言う。とんだ我儘女王様ぷりにスタッフたちも迷惑を被っていた。


女優Yはルミの陰湿な苛めによって自殺まで追い込まれる。幸いにも女優Yの命は助かったが』


………


このYってのは…


目を細めて記事を眺めている向かい側で




「youのことです」




マネージャーがまるで蚊の鳴くような……そんな小さな声を発したが、でも意思はしっかりとしていた。


妙な隠し立てはせず……いや、ここに来たからには隠すつもりはなかったのだろう。キッパリと認めた。



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