。・*・。。*・Cherry Blossom Ⅵ《シリーズ最新巻♪》・*・。。*・。
離れていかなければ、それでいい……って思った傍から、ちょっと離れて欲しいと思うのは
「近い近い!」
戒は部屋に入るなりきゅっと後ろから抱きしめてきて、あたしが何か言う前にちょっと強引な仕草であたしの顎を持ち上げてくる。
「ええやん、俺ら二人だけやで♪」
と戒は楽しそう……と言うかエロそう。
さっきまでリアルな恋バナしてたばかりだからかな、妙に恥ずかしくてあたしは戒からぱっと顏を背けた。
それでも戒は特別に何かを思ったわけでもなさそうで、ベッドに腰掛けると、隣をぽんぽん。
え?そこへ来いってこと?
おずおずとベッドに腰掛けると、戒はさっきの言葉通りそれ以上のことを仕掛けてくる様子ではなく
「女子会楽しそうやね♪俺も混ざりたかったわ」とにこっ。
まぁ??お前の天使みたいな笑顔だったら女子に紛れてても違和感ないだろうが。
「でもさー、何気にしょっちゅう会ってるわけやん?何話すん?」
「特にこれと言った大層なことは話してないよ」あたしは苦笑い。
「好きな音楽とかアイドルとか、お洒落の話だろ~それからメイクとか…」
あたしが指を折って数えると、途中で中途半端に指が曲がった。
戒が頬杖を付きながら首を傾げる。
「あ、あとは!こ、恋バナとか??」
あたしの声は変な風に裏返った。恥ずかしくなって慌てて顔を逸らした。
「へー。おもろそうやん。恋のかおり」
だからお前の言う“恋のかおり”って何でぃ!
「おもろいも何も……そー言えばキモ金髪から聞いた?リコと付き合うことになったって」
と言うと
「マジで!」と戒がワクワクと目を開いた。
あ…聞いてなかったってことか…余計なこと言っちまったな…リコごめん!
と心の中で手を合わせていると
「そっかー、あいつらくっついたか。響輔も女狐を選んだワケだし、川上がちょっと可哀想だなって思ってたけど、新しい恋が見つかって良かった」
え…?
あたしは俯いていた顏をぱっと上げた。
「何だよ」戒が怪訝そうに聞いてくる。
「いや……だってお前がリコの心配とか…ちょっと意外だった気が…」
「はぁ?川上とはダチだし、そりゃ心配するわ」
「そ…そっか!」
何か、それ…すっげぇ嬉しい!