。・*・。。*・Cherry Blossom Ⅵ《シリーズ最新巻♪》・*・。。*・。

*一結Side*



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.。*†*。. 一結Side .。*†*。.



お風呂からあがって部屋に戻ると、響輔はすでにお風呂からあがったのかTシャツにハーフパンツと言う格好で首にタオルをぶら下げていた。見慣れない恰好に胸の奥がドキリと鳴る。


だけど


「お帰り」


と、響輔はいつも通り…普段通りだ。そっけない。


「た、ただいま」


ぶっきらぼうに返した言葉は変な風に震えた。


でも『おかえり』と言われたことが、堪らなく嬉しかった。




あたしの―――戻る場所が、響輔だって思えるから。




あたしはドレッサーの椅子に腰掛け、持ってきた化粧水の類を取り出してテーブルに置いていると


「こんなに使うん?顏が爆発するんとちゃう?」と響輔は物珍しそうに化粧水の瓶を手にする。


「爆発なんてしないわよ」響輔の発言にちょっと笑えて


「女優は顏が命なのよ」と化粧水の瓶を取り返すと


「ふーん……大変なんやね、女子って」


と響輔は気のない様子でベッドに腰掛ける。


またもちょっと心が躍った。あたしを“女優”としてじゃなく一人の女として、見てくれることが嬉しかった。


化粧水や乳液や美容液を塗っていると、鏡の中に響輔が映った。響輔はあたしを覗きこんできて


「やっぱあんたすっぴんの方が可愛えやん」


と。


ギャァ!


あたしったら!何で普通に風呂上りにすっぴん晒してるのよ!


「しかもこれ…ネグリジェ言うん?初めて見たわ」


響輔は物珍しそうにあたしのワンピースを引っ張り


「ちょっとぉ!これ高かったんだから」と軽く睨んだ。


ロング丈のワンピースは白いノースリーブで体のラインにぴったりフィットしたもので膝から裾に掛けてふわりと広がっていて、見ようによっちゃマーメイドドレスのようにも見える。


腕の袖ぐりから透け感のあるシフォン生地がまるでマントのように背中へ流れるように垂れている。一着10万近くした…


都内にあるイタリアの若手デザイナーの店で、完全オーダー制。


普通ではちょっと着れないワンピースだけど、見本として飾ってあったこのワンピースに一目惚れ…したのは良いけど、購入してから「どこへ着てくのよ」とガクリ。


10月の舞台挨拶の時にでも着ようかな……と思ったけど、デザインがシンプルだし柔らかい素材だから舞台映えしないし。


でも、思いがけず良い機会に恵まれた。


……のはいいけど…


「スキンケア終わったら教えて。電気消すから」


「あ…うん」


このまま何も無く終わっちゃうのかな。


何かそんな感じ。


朔羅と虎間 戒が乱入してきたから、さっきちょっとそうなりかけたケド、タイミングを逃した気がした。



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