。・*・。。*・Cherry Blossom Ⅵ《シリーズ最新巻♪》・*・。。*・。
「きれいや」
響輔は言った。
響輔の手が再び背中に回るとゆっくりとベッドに倒される。響輔がそっと覆いかぶさってきて
「響輔」
泣きそうになるのを何とか堪えて、響輔の頬にそっと手を伸ばした。
響輔の手もあたしの頬を包む。
お互い―――宝物に触れるように、繊細で…優しく。
再びキスをするともう止まらない。
響輔があたしに一瞬でも朔羅を重ねたかもしれない。
あたしが一瞬だけ玄蛇に重ねたかもしれない、自分自身の気持ちがどこにあるのか分からない。
けれど
今はあたしたち二人―――気持ちで繋がってると
信じたい。
―――
――
響輔のキスは優しい。
響輔の手も優しい。
壁に映しだされた二人の影が、まるで軟体動物のように複雑に絡み合っている。
つま先からせりあがってくる痺れは甘い快感。
まっさらな白色のシーツが舞い、あたしのつま先がのけぞる。響輔の手が足首から膝の間を辿り、あたしは響輔の少しだけ汗ばんだうなじを撫でる。
行為が白熱すると、互いの乱れた呼吸音だけが室内を満たし
果てる間際
「響輔」
あたしは響輔の首に腕を回し襟足にきゅっと力を入ると、
「愛してる、一結」
響輔は応えてくれた。
あたしの頬を親指の腹でそっと拭ってくれて、あたしはこのときはじめて
泣いてることに気づいた。
「あいつのこと…忘れなくてええよ。
揺らいでもええよ―――
ただ、最後に戻ってくるのが俺んとこやったら、俺はそだけで―――……
……それだけで充分や」
響輔―――
「ただいま」
あたしの戻る―――場所。
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