。・*・。。*・Cherry Blossom Ⅵ《シリーズ最新巻♪》・*・。。*・。
ノックをしようとして、ちょっと思いとどまった。
昨日の……ようなことは、流石に朝っぱらから無いよな…
と思いつつもやっぱり慎重になってるあたしは遠慮がちに小さくノックした。
中から返事はない。
ノブに手を回すと、扉が静かに向こう側へ開く。
「キョウスケー……?」
小声でそっと呼びかけて覗くと
ダブルベッドの上、手前のイチの寝顔が見えた……長い睫毛を伏せて、白い頬に影を作っている。その頬に流れるハチミツ色のきれいな髪。
わぁ…女優て寝顔も最高に美しいんだな…まるでお人形さんが寝てるみたい…
まではいい…
二人の着ていたであろう衣服が床に無造作に落ちていて
イチを後ろから抱きしめているように見えるキョウスケも寝ていて…二人の手はしっかりと絡まっていて…しかも二人の布団から出た剥き出しの腕や肩を目に入れて(流石に胸から下は布団被ってるけど)
裸……HA・DA・KA!!!?
ぎゃぁ!!
す、すすすすすすみませんでした!!!
あたしは後ずさり。
したところで、
「……ん」とくぐもった声をあげて、イチの向こう側からキョウスケがゆらりと起き上がった。思った通り上半身は何も身に付けていない。
あたしは思わずその場で硬直。
あたしを視界に入れたキョウスケも硬直。
「……おじょっ!!!」
言いかけた言葉を慌てて両手で口を覆い、
「あ……あはは~、朝食…何するか聞きたくて……ごめん…お邪魔?しちゃったぁ~」
そそそ
今度こそあたしは後ずさりして、部屋から出ると扉をパタンと閉めた。
あたしのバカぁ!!
“最中”だと言う心配はしなかったが、“事後”かもしれないことを何で想像しなかったんだよ!