。・*・。。*・Cherry Blossom Ⅵ《シリーズ最新巻♪》・*・。。*・。
トンっ…
エリナの手からアイスが床に落ち、エリナの体がふわりと傾いた。
「新垣さん!」
千里の叫び声が聞こえ、あたしたちは慌てて二人の元に掛けよった。地元の人間だろうか二人連れの男の客たちが何事かこちらを気にしたようにしていた。
エリナは千里に抱えられ、顏を真っ青にして今にも倒れそうな程ブルブルと震えている。
「おいっ!どうしたっ」戒がエリナを覗きこみ
「分かんねぇよ……急に…具合悪くなったみたいで…」と千里が困ったようにあたしたちを見ている。エリナは真っ青にさせた顔を俯かせながら千里に必死にしがみつき、それでも震える手で男の方を指さし。
「……こ……コーチ……」
エリナの言葉で思わずあたしと戒は顏を見合わせ、エリナの指さした方に勢いよく振り返ると、客の男たちがちょっと驚いたように顎を引いて立ち止まっていた。
背格好や、年齢は似ている―――気がするが、あの淫行コーチじゃない。
「一ノ瀬、悪い。これでそれ払っておいてくれ。新垣さん具合悪いみたいだから、外に連れて行く」戒が尻ポケットから財布を抜き取り、千里に放り投げ千里は危うい手つきでそれをキャッチ。
「え…大丈夫かよ……」と事情を知らない千里が戸惑ったように言い
「大丈夫だよ、あたしもついてくからそれで払っといて」とあたしも戒とは反対側からエリナの腕を取ると
「お、おうよ…」と千里は何とか頷く。