。・*・。。*・Cherry Blossom Ⅵ《シリーズ最新巻♪》・*・。。*・。
「あの…ちょっと気になったンすケド…」
また『ス』が付いてる。ちょっと面白いかもこの子。独特なペースにはちょっとついていけないケド。
「なぁに?」作り笑いを浮かべて聞くと
「どうしてキョウスケの兄貴とリコちゃんを二人で二階に行かせたンすか?リコちゃんはライバルにも値しないってことスか?それとも意地悪スか」
意地悪―――?
あたしは笑顔を拭い去り、思いっきり顔をしかめた。
腕を組んでちょっと目を細めると、黒髪くんが委縮したように肩を縮こませる。まるで蛇に睨まれた蛙のよう。
「何か勘違いしてるようだけど、あたしあのリコって子を敵対視してないから。あの子だってそうでしょ?」
「はぁ…まぁ」
「大体意地悪する程暇じゃないっつうの」フンと顔を逸らすと
「じゃぁ何で…」
「敵に塩を送ったのよ」
「敵…?ってリコちゃんのことスか?」黒髪くんが顎を引き「ん?でも塩を送るって…?」とすぐに首を捻る。
あ、やっぱおバカだこの子。
「敵でも苦境の時は助けるって意味よ」
「は~、そうッスか。ん?でも助けるって?リコちゃん何か困ってるンすか」
真剣に聞かれ、やっぱバカ??あたしの方が彼女の些細な態度に気付いたっていうのに。
「さぁね、実際のところはどうか分かんない。ただの女の勘よ。あの子の響輔を見る目がどことなく消化不良っぽかったから」
「消化不良…」
「あんたたち、付き合ってるってこと響輔に言ってないんでしょ」
「…あ、はい…まだ…え?でもyou姐さんは知ってたンすか!」
ね、姐さん!?
あたしは再び奇異な生き物を見る目付きで黒髪くんを眺めると
「だってキョウスケの兄貴のカノジョさんだから姐さんス」
「やめてよね、そんな極妻みたいな呼び方」
「極妻じゃないンすか?今は違うかもしれませんが、将来的に…」
将来的に…?
『おかえりなさいやせ!姐さん!!』
響輔の舎弟(見たことないけど)に頭下げられてそう言われるの?あたし。
ぅうわ、想像するだけでちょっとイヤだわ。
でも、響輔のお嫁さんにはなりたい(極妻はゴメンだけど)