。・*・。。*・Cherry Blossom Ⅵ《シリーズ最新巻♪》・*・。。*・。
*リコSide*
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・☆ リコSide ☆・
お、思わずついてきちゃった……
断れば良かったじゃない、あたし!
あたしは階段を昇る響輔さんの背中を見つめながら階段を一歩昇る。
い、今から引き返そうかな…
くるっと階下を見下ろし、でも慌てて頭をブルブル振る。
ダメよ、理子!
ちゃんと自分の口から言うって決めたじゃない。しかも願ってもないチャンスだし。正直、この旅行で響輔さんと二人きりになれると思ってなかったし、旅行が終わったらしばらく会えないかもしれないし、後から違う人から聞かされるより、今ちゃんと言わなきゃ。
ぐっと拳を握り、一歩また昇ろうとしたところで
あたしのバカ。ステップを思いっきり踏み外した。
「わ」
思わず体が傾いて慌てて手摺につかまろうとしたけれど、それよりも早く響輔さんの手が伸びてきてあたしの腕を掴んだ。
顏を上げると響輔さんのちょっと心配したような顏があって―――
「大丈夫ですか?」
「……あ…はい!ありがとうございます」
変……なの…
見慣れてる筈の響輔さんの顏が響輔さんじゃなくなった気がした。それは響輔さんがyouを本当の恋人にしたからあたしを見る目が変わったのか、あたしが先輩と付き合うことになったから響輔さんを見る目が変わったのか。
ううん、本当の所は何も変わってない。
響輔さんは響輔さんで、あたしはあたし。
今までもこれからも、二人の関係は変わらない。