。・*・。。*・Cherry Blossom Ⅵ《シリーズ最新巻♪》・*・。。*・。
窓の外で海岸の波の音が聞こえてきた。ゆらゆら、ざわざわ。
押してはひいて、を繰り返し。風が窓を揺らし、遠くでカモメの鳴き声も聞こえた。
そんな中
「そう―――ですか」
響輔さんはたった一言呟いた。
「け、軽蔑しますよね!今まで散々響輔さんを追いかけてきたのに、この短期間で先輩と付き合うとかっ!」
何て繋げていいのか分からず思わず早口になる。パーカーの裾をきゅっと握っていると
「軽蔑なんてしませんよ」
と、相変わらず温度の感じられない淡々とした声が聞こえてきて、ふっとあたしの頭上に影が落ちた気配がした。思わず顏を上げると、響輔さんがうっすらと微笑を浮かべながら上から覗きこんでいて、まともに目があって頬がカッと熱くなる。
「わっ!わわっ」
思わず声が上擦って体ごと振り返って……しまった…
まともに響輔さんと対面して、慌ててくるりと前を向き、思わず壁にへばりついていると
「良かったです。金髪……黒髪くんは根はいいひとなんで」
てかそこ、言い直す必要あります?もういいじゃないですか金髪くんで。
「ぷっ」
突然笑えてきた。
好き“だった”なぁ。響輔さんの変に律儀なとことか。