。・*・。。*・Cherry Blossom Ⅵ《シリーズ最新巻♪》・*・。。*・。
マップを広げながら「どこから回る?」とワクワクした戒の腕を引っ張り
「おい、千里とエリナを尾けるぞ」とあたしは千里とエリナが遠ざかって行く二人を見ながら言った。
「はぁ?何で」と戒は思いっきり不服そう。
「あの二人、ほとんど初対面みてぇなもんだろ?エリナはともかく千里のヤツ…しっかりエリナをエスコートできるか心配だ」
何せ千里は初カノ(?)とデートした時大失態をしでかしたからな。
※「。・*・。。*・Cherry Blossom Ⅴ・*・。。*・。」参照
「そんなんほっときゃいいだろ?ガキじゃあるまいし」と戒が遠ざかって行く二人を眺め
「薄情だな!お前は!大体お前が言い出したんだろ、“恋のかおり”って!」と戒を睨むと、
「わーった、わかった。お前に従うよ」と戒は諦めモードで両手を上げる。
と言うことで尾行開始だ!
あたしと戒は千里とエリナにバレないぐらいに距離を取り、二人の後を追った。
やがて、エリナが何か見つけたようで指さし、あたしがその視線の先を目で追うと解放的なテラスがあるログハウス的なカフェ??を見た。
千里は頷き、何事か一言二言喋って頷いた。
二人がそのカフェみたいな建物に入っていく。
「よし!戒!あたしらも行くぞ」と戒の腕を引っ張るも
「てか流石に同じ店に入るのはマズいんじゃね?俺たちが尾行してることバレるって」戒は苦笑い。
そ……そっか!
ちょっと離れた場所でその建物を見ると、カフェだと思ってた建物はどうやらパン屋さんみたいで、入るとすぐにたくさんの種類が並べられた棚の前、ゆっくりと二人は行ったりきたり。
戒が言った通りあたしたちは流石に店に入るわけには行かず、
「う゛ー、どうしよ…」と木陰で隠れてるあたしが唸った。
戒はため息をつきながら、あたしの腕を取り
「何だよ、もう諦める気か?」とあたしが小声で戒を睨むと
「違ぇって、あっち行こうぜ」と指さした先は、かなりの樹齢を重ねたでっかい木の影で
「ここなら見つからず、しかも会話も聞こえるだろ」と戒は呆れたように言う。
おお!なる程!ここなら気付かれず済む!ナイス戒!
最初は渋っていたものの、こうやってあたしに付き合ってくれる辺り、やっぱそゆうとこ優しいんだな。
ほどなくしてイートインスペースになってるのかテラスにトレーを持った千里とエリナが現れた。
二人は運良く(?)あたしたちが潜む席に落ち着いたようだ。