。・*・。。*・Cherry Blossom Ⅵ《シリーズ最新巻♪》・*・。。*・。
アイツに対して恐怖を抱いたことはただの一度も無かった。ただ、アイツが朔羅を陥れようとしていることには恐怖を感じる。
俺は―――…
「俺が怖いのは川上だ」
ズバリ、言い切ると
「えっ!?リコぉ??何で?」と新垣 エリナが大げさに目を丸める。
「なぁんかあいつに逆らえないんだよなー、俺。あいつヤクザな俺に平気でビンタかましてくるしな」
「ビンタって…リコがぁ?」と新垣 エリナは『信じられない』と言いたげだ。
いや、ホントのことだ?
憐れ進藤。お前は川上の尻に敷かれて一生を終えるんだな…
チーン
そう思うと手を合わせてお経を唱えたくなる。
そんなことを話していると、俺たちの足元にふっと影が落ちてきて、俺が顏を上げなくても分かる。
CherryBlossomの香り。
朔羅―――
「お、早かったな!」と気軽な感じで手をあげると、その手を朔羅の両手が包んだ。
「どした?」目を上げると
「や!あのさっ!やっぱ風車小屋のてっぺんは戒と見たいな~とか思って…」
「え?行ってねぇの?」
「あ、うん……すごい人で」
「途中まで昇ったけど、頂上までたどり着くまで時間掛かりそうだったし、ってわけで引き返してきた」と一ノ瀬が補足する。
てことは、一ノ瀬はあのジンクスを知らなかったと言うワケか。
朔羅の気持ちを疑ってたわけじゃないけれど、ちょっと不安だったのもある。
けれど、こうして
俺の手を掴んでくれた―――
「戒……」
真剣な表情で朔羅に名前を呼ばれ、
「ん?」と返すと
「早く高所恐怖症を克服しろ!」
チーン…
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