。・*・。。*・Cherry Blossom Ⅵ《シリーズ最新巻♪》・*・。。*・。
値段からしてプラチナ素材とは考えられないけれど、シルバー?のリングの土台に天然石ルビーが一粒、そして周りにはスワロフスキーが散りばめられている。リングの土台は少し変わっていて横にねじれている感じだ。
「可愛い」思わずショーケースに手をついて覗き込んでいると、店員さんがわざわざ出してくれて、革張りの小さなトレーに乗せてくれた。
「どうぞ、お試しください」とにこにこ言われ、あたしは試しに中指に入れようとしたけれど、でも5号て書いてあったわね。流石に中指には入らなさそう。だから、あたしは右薬指にそれを入れた。
「お、ぴったりやん、ええやん似合ってるで」と響輔が言って、
「ホント?ルビーはあたしの誕生石だし」と言うと
「お客様、7月生まれなんですね」と店員がにこにこ。「ルビーはその美しさと希少性から、“宝石の女王”とも呼ばれているんですよ」と付け加えて。
「へー、女王さまってあんたにぴったりやん。てか誕生日7月なん?てかもう過ぎてる?」
女王さまがぴったり、ってことにキーっっ!てなりそうだったけれど、ここは外。さっきと違って周りにはたくさん人が居る。
「そうよ。だから厳密に言うとあたしは二十歳」ルビーの指輪がはまった手を掲げてあたしはあちこちの角度からそのデザインを眺めて
「誕生日は何やっとったん?」とまた響輔の質問が入り
「別に、何も。ホテルのルームサービスで適当に」
「ホテルってあの“一結のお部屋”?」
てかやめてよ“一結のお部屋”てのは。まぁあたしがずっと滞在してるからそう言われてもしょうがないんだけど。
「そうよ?あ、今寂しい女だって思ったでしょ。でも誕生日を誰かと過ごすと勘違われるでしょ、そうゆう重いの望んでないから」
あっさり言うと
「あんたらしい」と響輔はちょっと笑った。