。・*・。。*・Cherry Blossom Ⅵ《シリーズ最新巻♪》・*・。。*・。


「あ、現金そんな持ち合わせてないんで、カード切れますか?」と響輔が財布からクレジットカードを取り出す。


「はい、大丈夫ですよ」と店員さんはにこにこ。


「ちょっ…響輔っ、買ってくれるって言うの?あれ…一個3万はするんだよ!」響輔のTシャツを握り慌てて言うと


「あんたが買うて言うたやん」と響輔は白い目。


「だって……あたし一人分だと思ってた」きゅっとTシャツを握ったまま


「一人分やと他の男と変わらんやろ。でも二人分やったら、一結と共有してるの世界に俺だけやからって思えるやろ?


どんな高価なものより価値がある、思わん?」


響輔はちょっと赤くなった顏をふいと逸らし、赤くなったままの顏で


「あ、すんまへん。それ名前刻印できます?」と店員さんに聞いていて


「できますよ。お時間30分程いただきますが」


との答えに腕時計に視線を落とし、「約束の16時までギリってとこか。ほな、お願いします」とさらっと言って


会計を済ませると、


「ちょっと遅いけど、俺からの誕生日プレゼントや思うて受け取ってや」


響輔があたしの手を握り小さく言って、あたしは空いた片手で目を押さえた。


「ちょっ!何で泣いとるん!?あ、指輪が安かったとか?」と響輔が驚いたように聞いてきて


「ううん……違う…嬉しくて」


過ぎ去った20歳の誕生日は永遠に取り返せないけど、こうやってお祝いしてくれる人がいて、時間は遡れないけれど、この先の未来を二人で、て望んでくれているひとがいた。


それが響輔で―――



嬉しかった。




あたしはまた“幸せ”の欠片を手にしたのだ。



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