。・*・。。*・Cherry Blossom Ⅵ《シリーズ最新巻♪》・*・。。*・。


「風車小屋?」キョウスケが言って


「ああ、何かあったわね、そんなの」とイチが視線をキョウスケに合わせる。


「行かなかったのか?」あたしがキョウスケに聞くと


「行きませんでした。俺らカフェに行ったあと買い物してたんで」


「何か、あそこのてっぺんでチューすると永遠に結ばれるらしいぜ?」あたしがニシシと笑うと


「え?違うわよ、あそこのてっぺんで愛を告白すると叶うって言ってたわよ」とイチがまばたきをして、マップを覗き込んでくる。イチは…知ってて外したっての言うのか…


余裕のある超絶美人女優ってのはレベルが違うな。ジンクスに頼らなくてもキョウスケと一緒に居られる……て?


「俺はそんなジンクスすら知らなかったですが、統計的に見てあの風車小屋を男女の組み合わせで行くとなると少なからず何かの感情があるのでしょうし、それはジンクスと言わず、ある意味確率論的な…」


キョウスケの説明を遮り


「わかった、わかった!」


お前にロマンを求めたあたしがバカだったよ。


「そうそう、大体そんなジンクスあったら今頃、少子高齢化なんて現象起きないでしょ」と、イチも全然気にしてない様子で…女優の余裕じゃなく大人の女の余裕だった。まぁ大人って言ってもそう歳変わんないけど…


ある意味お似合いのカップルだぜ。


「次来るときは俺、高所恐怖症を克服するから、そしたら一緒に昇ろうぜ」


戒があたしの手を自然に握ってきて、戒だって現実主義者だからきっとキョウスケの持論に賛成派だろうが、あたしに合わせてくれて


「うん」


良かった、千里と昇らなくて…と改めて実感。(千里には失礼)



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