。・*・。。*・Cherry Blossom Ⅵ《シリーズ最新巻♪》・*・。。*・。



俺は予想以上に早く目的を伝えることができる、ってワケだ。


「今から鴇田の事務所を張れ―――


特に、大狼 恵一は要注意人物だ。




そいつに変な動きがないか、監視しろ」


『タイガ ケイイチ?』


タチバナは復唱して、ここで意外だったのがタチバナがその名に覚えがない、と言う風だった。


何だよ、マークしてたんじゃねぇのかよ。


正直、ちょっと拍子抜けだ。だったら出方を変える。


「鴇田んところの会計士だ。それ以上は話せない」


と口早に言うと


『そのお前が匿ってる女の身柄を確保してからの話だな』


「じゃぁ早くしな。そうだな…」


俺は一ノ瀬んちのリビングに飾ってある壁掛けのデジタル時計を眺めて


「30分後だ。30分の間にその女の身柄が確保できなければ、その女の身柄を移動させる。


あんたは生き証人を逃すことになる。


これで畑中組の件はほぼゼロからのスタートになるぜ?


それは避けたいだろ?俺たちを巧みに操ってきたわけだから」


ちょっと嘲笑するように言うと


『ふむ』とタチバナは考える(フリ)??をしたが、すぐに


『今から部下を向かわせる。名前はキタイチだ。


東西南北の『北』に市場の『市』で“北市”


女にそう伝えろ。警戒してるだろうからな』


「了解。じゃぁ30分後にまた連絡する」


俺は言葉も少な目に通話を切った。通話時間は3分少々。逆探知される恐れは充分にあったが、一ノ瀬の親父からの電話だから大丈夫だろう。


ただ、盗聴されていたら別だが、タイガの方はそれどころじゃないだろうからな。恐らくその辺も大丈夫だろう。




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