。・*・。。*・Cherry Blossom Ⅵ《シリーズ最新巻♪》・*・。。*・。



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――


一連の話を聞いた響輔が単眼鏡を覗きこみながら


「なるほど、考えましたね。


これでスネークの足止めと、あの女の身柄の保証、一石二鳥ですね」


と淡々と言った。


「せやろ?で、きっちり30分後に確認したら、あの女、無事に警察の手に渡ったみたいや。


すぐにキタイチ言う男から電話が掛かってきた」


「そのキタイチって刑事、信用できるんですか?」と響輔が聞いてきて


「そこまで疑ったらキリがねぇよ。それにあの声に覚えがある。


俺らが賽銭泥棒の罪を着せられて、聴取に来たデカを覚えてるか?」


「ええ、覚えてますよ。あの時は大変でしたね」


と、全然「大変」そうじゃない口調で言う。


「二人居たデカのどっちかの声だ。覚えがある」


「まぁ戒さんは動物並に鼻もいいですが、耳もいいですしね(ついでに視力も)」


おい!何だよ、動物並って!!


俺の記憶力を褒めろ!


「でもタチバナに監視させるとしても、お嬢の方はどうします?俺たちがお嬢と別行動してたら絶対不審に思う筈です。後を尾けてこられると厄介だし、危険に巻きこみたくない」


「ああ、それも手を打ってある。朔羅は“もっとも安全”なヤツに“運搬”してもらう」


にやりと笑うと、響輔はすぐに“もっとも安全なヤツ”ってのが誰なのか分かったのか


「ある意味あなたにとっては一番危険だと思いますが?」と目を上げる。


「そうだけど、手段を選んでられねぇんだよ。それに今んとこ“アイツ”も朔羅に手を出してこねーよ。出したら、全てが片付き次第俺が大阪湾に沈めたる!」


と、ギリギリ歯軋りをしていると、響輔が単眼鏡から目を離し




「15分経ちました。


行きましょう」




と、外を目配せ。


バタン…


閑静な住宅街に、車のドアの開閉する音だけが響いた。


その音に警戒して伊予原椿紀が顔を出すかと思ったが、相変わらず伊予原家は不気味な程、鎮まり返っている。


さっきは生垣の影になっていて分からなかったが、伊予原家には車庫があって、赤い車が一台止まっていた。


人の気配はしない。


まぁ俺だったら車で逃走することはしないがな。ナンバーで追跡される可能性が高いから。



やはり、居ない確率の方が高いな―――


俺は目を細めて、その建物を見上げた。




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