。・*・。。*・Cherry Blossom Ⅵ《シリーズ最新巻♪》・*・。。*・。
『畑中組は裏カジノで金を荒稼ぎして、さらにそのカジノを隠れ蓑に、コカインの売買がされてる』と切り出されたとき、俺は目を細めた。
タチバナとアヤメのもくろみ通り、奴らの『団結力』を逆手に、けしかけた作戦はタチバナにとっちゃ成功だ。
だが、俺にとっては朔羅を巻きこみたくなかったがな。
「俺とアヤメさんで、お前たちを導いた」タチバナはしたり顔でグラスを傾け、ブランデーを一飲み。
『道案内どーも。でもゴールまで、まだ先が長いぜ?』
と、こましゃくれたクソガキの含みのある物言いに、グラスに付けていた口を離した。
戒―――……
何を考えてやがる。
「近道をする方法がある、と言いたいのか?だから俺にコンタクトを取ったんだろう?」
さすが警視庁捜査一課を仕切ってるだけある、タチバナは戒の言葉に隙間なく、返答をした。
『畑中組で、無理やり働かされていた女の身柄を確保してある。
その女が証人だ』
戒の言葉に、タチバナは『知ってたか?』と目で聞いてきたが、俺は首を横に振った。
知らない。
お得意のハッタリだろう―――……と思ったが、それがハッタリではないことをすぐに知る。
『畑中組は、クラブZは裏カジノをやってて、そのまた裏でコカインを売買してる。
それに加えて“人身売買”だ。
ヤツらは借金のある人間の保証人に女を選び、そのうえ借金を返せずトンズラした場合、担保として女を利用する。
違法な取り立てだ。
『貸金業法』の第21条に該当するんじゃね?
罪状が幾らあっても足りねぇな』
ハッタリ―――じゃない…
ギシッ
俺は音を立てて革張りのソファから立ち上がると、ケータイを俺の方へ向けた。
タチバナが興味深そうに目を細めて俺の方を見てくる。