。・*・。。*・Cherry Blossom Ⅵ《シリーズ最新巻♪》・*・。。*・。
あたしのため息をエリナに気づかれたみたいで
『どうしたの…?リコと喧嘩でもした…?』と心配そうに聞いてくる。
「う、ううん!喧嘩はしてない!」慌てて言うと
『そう…?サクラ、元気ないみたいだったから…』
と。自分が一番酷い状況下にあるってのにあたしの心配までしてくれて、エリナは優しいな。
ホント、マドンナだ。
じーんと、きていると
『何か……ごめんね?あたし、龍崎くんやサクラやリコに迷惑ばっかりかけて……
バイトも途中で投げ出す形になっちゃったし…』
とエリナの声は沈んでいく。
「いや!大丈夫だよ!!あたしは迷惑なんて思ってないし!
リコも……」
言いかけた言葉はまるでロウソクの灯を消すように小さくなった。
こんなんじゃダメだ。エリナを不安にさせる。
慌てて
「店長も、心配してたよ!」
これは本当のことだ。
おネエ店長と一緒に伝票整理をしてるとき
『エリナちゃん……あの子大丈夫かしらね…』とため息をはいていたのを思い出す。
『そうなの……?ごめんなさい……色々片付いたらちゃんと挨拶に行くね』
「いや、大丈夫だよー、エリナが無事ならそれで」と手をひらひら。
そこから話は逸れて、
『そう言えば、今月号の“フレガ”サクラ買った?』と聞かれ
「ううん、まだ。あ、でもリコんちでちらっと見たかも」
『昨日ね、心配してるお母さんがあたしを元気付けるために買ってきてくれたの。
そこで新色のリップがあってね~
色もそうだけどパッケージが凄く可愛いの!』
と、エリナははしゃいだ声をあげる。あったっけ?そんなエリナのテンションが上がりそうなリップ…
「へ~」とあたしは気のない返事を返しちまったが、エリナがこうやって元気なのはフリだろうな、とちょっと思った。
『値段もね、それほど高くないの。今度またサクラとリコと三人で買い物したいな…』
今度はエリナの言葉が消え入りそうだった。
「うん!行こうよ!絶対!あ、あたしあんま化粧品とか詳しくないしメイクとかしないから、色々教えてもらえると嬉しいし!」
と慌てて言うと
『ありがと』
エリナが電話の向こうで小さく笑った気がした。
「今日はさ、ちょっと中途半端な時間に上がりなんだ。明日だったら午前中で終わるから、その後エリナの家に行くよ。
MIRACLEランド行って、エリナにお土産買ってきたんだ~」
と言ったところで、そうだ!お土産を口実にリコと会う約束できるんじゃね?
『ほんと?嬉しい』
エリナが言って
『そう言えば、リコも明日来てくれるってメールきたよ。
電話が繋がらないのがちょっと心配だけど……でも、明日来てくれるみたいだから…
大丈夫だよね?』
え!?明日!
急過ぎて、心の準備が……
でも、そもそも昨日も今日も電話しようとしたし、心の準備とか言ってられねぇ。
「うん!じゃぁ明日エリナのおうちで集合ね!」
決戦(?)は明日だ!!