。・*・。。*・Cherry Blossom Ⅵ《シリーズ最新巻♪》・*・。。*・。
「翔、お腹すかない?お義兄さまも。ちょうどお昼時だし、どこかでランチでもいかが?」
キリが言い出し、確かに腹は減った。考えたら昨日の朝からろくに食べていない。
気が緩んだのもある。今更ながら空腹を覚えた。
「美しい義妹の申し出を断るわけにはいきません。私がとっておきのランチを御馳走します♪」
と、衛はキザに言ったが
………
「とっておきのランチ…?病院内の食堂じゃねぇか」
連れてこられた院内の食堂を見て、思わず衛を睨むと
「ここの日替わりランチが美味しくてね」と衛はマイペース。
食堂は広く天井は高い。患者や医師たちが思い思い食事をしていた。
「まぁまぁ翔。お義兄さまがそうおっしゃるなら、きっとおいしい筈よ」とキリはにこにこ。
「君のお嫁さんとはとても良識のある人だね。君には勿体ない。フフッ」と衛は俺にこそっと耳打ち。
「煩い、俺の嫁だからと言って甘くみるなよ?あいつに目を付けられたら頭からバリバリ食われて、あっという間にキャロライン状態だ」
「と言うことは私はボブになると言うことか。キャロラインは素敵な女性だからそれもありかもしれない」と衛はブツブツ。
だめだ、(悪い意味で)こいつに冗談が通じない。何だよ、ボブって。
結局、衛のオススメで日替わりランチを頼んだ。
患者向けなのだろう、今日のメニューはきのこと鮭の炊き込みご飯と、ワカメスープ、鯖の煮つけとサラダと言うあっさりした内容だ。
味は…まぁ不味くはない。思ったより。
衛が御馳走するとは言ったが、食券での支払いは俺がした。衛には何かと世話になりっぱなしだからな。
「本当に、君たちはトラブルが絶えないからね」
と、ワカメスープの椀に口を付けながら衛が苦笑。
「私は大丈夫ですわよ?健康体ですから」
「お前は一生医者の世話にならんだろうな」とキリを見ると
「健康第一です♪」と衛は楽しそう。
「しかし……ここ最近本当に忙しいですね」衛は苦笑して鯖の煮つけに箸を伸ばす。
「そうですね。ちょうど東と西の協定が結ばれる話が持ち上がった頃からじゃありません?」
キリは何気なく言っただろうが、
そう言えば―――そうかもしれない。と改めて思った。