。・*・。。*・Cherry Blossom Ⅵ《シリーズ最新巻♪》・*・。。*・。


俺たちが腰かけてからすぐにホットコーヒーが運び込まれた。


組員が出してくれたから毒入りではなさそうだが、それでも口を付ける気になれない。


タイガは俺の顔の傷をゆっくりと眺めて薄く笑う。


「酷い有り様だね。可愛い顔が台無しだ、ヒツジちゃん。


だが君たちが生きて、私に会えるとはちょっと計算外だったな」


言葉とは反対に随分余裕のある態度でタイガはソファの背に両腕を乗せる。


こいつは確信していたに違いない。


俺たちがタイガの攻撃から(のが)れられる、と。




じゃないと、面白くない―――そう言いたげだ。




「会計士なのに、簡単な所で計算をミスったな」


負けじと笑いながら言って俺も腕を組む。響輔は隣で深く背をもたれさせ腕を組み、ただ黙って成り行きを見守っていた。


「お前がこの事務所を指定してきたのは、組員がまだ大勢残ってるこの場で、俺たちが下手な真似ができないと思って、だろ?」


「お互いさまじゃないかい?私も君たちに下手なことはできない。


しかも目障りなネズミが大勢うろちょろしてるようだからね、私には少々分が悪いとも言える」


「分かってんなら、益々下手なことはできねぇよな」


挑発的に笑うと、タイガは俺の挑発も軽く笑って受け流し、優雅にコーヒーのカップを手に取りコーヒーを口に含む。


「そうだね」


タイガはどこまでも余裕顔だ。


だが、その余裕どこまで持つかな。


だけど、一つだけ気がかりなことはある。


俺たちの心理攻撃をあっさりかわしても、タイガはネズミたちに包囲されている。


どうやって逃げ切るつもりなのか。


或いは逃げ切れるネタを持ってるのかーーー




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