恋人は社長令嬢
「全く、君は……会いたいのを我慢してるのは、自分だけだと思ってるんだね。」

「亮介さん…」

亮介は責任のある仕事をしているんだから、自分の勝手な行動で、迷惑をかけちゃダメなんだ。

那々香は、そっと亮介から離れた。

「短い時間でも、会えて嬉しかった。私、帰るね。」

「今夜は、帰さない。」

「えっ…」

温和な亮介から聞く、初めてのセリフ。

「だから、帰さないって。」

そう言って亮介は、もう那々香の服を、脱がせ初めてる。

なんだか、今日はやけに積極的だ。

そして、亮介の上着から電話の着メロが鳴っている。

「あの…電話…」

「気にするな。」

「だってこれ、家からの電話じゃ……」

「じゃあ、切るよ。」

亮介は、上着から携帯を取ると、本当に電話を切ってしまった。

「那々香。愛してるのは、君だけだ。」

那々香との密事に夢中で、亮介はこの時、気がつかなかった。


家からの電話が、何度も何度も、鳴っていることを……
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