恋人は社長令嬢
「赤間に矢口じゃないか!」

懐かしい声に振りかえると、そこには、北海道へ転勤になった亮介がいた。

「大村課長。」

懐かしさと驚きで、二人は梨々香の存在を忘れて、亮介に駆け寄った。

「課長、いつ本社に?」

「いや、今日はたまたま、社長に呼ばれただけなんだ。」

「社長に?」

瞬と至は、顔を見合わせた。

「慌ただしいものだよ。夕方、突然社長から電話があって、すぐに社長室へ来いだもんな。」

それで、夜には社長室の前にいるんだから、本当に慌ただしい。


「支社の一課長に、急に来いだなんて、何かあったのかな…
まあ、俺が呼ばれるんだから、会社の大事じゃない事は、確かだな。」

笑う亮介に対して、作り笑いもできない瞬と至。


「課長……」

瞬が、重い口を開いた。
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