終わったはずの恋だった。
大学が春休みに入り自由登校になったため、研究室に来ているのは飯田と満生だけだった。飯田が忙しい中、こうして登校したのは、今日が2人にとって大切な日だからだ。
「どんな子が来るんでしょう?」
「日本語が通じる奴がいいなぁ」
今日は研究室配属決定日。
応用化学科の学生は4回生になったら各研究室に配属され、1年間卒業研究に励まなければならない。
四月から4回生になる後輩達が今日、各々が配属される研究室を決定する。
研究室は主に大学院生が学部生達を指導するため、院生達にとっても新しい後輩とは気になるものだ。四月からM1(修士課程一回生)になる満生も例外ではない。
配属先は成績の上位30名が順番に希望の所に決定する。その後、成績枠に入れなかったり、成績枠に入っていたものの希望先が定員オーバーになった人が話し合い(という名のじゃんけん大会)で決まることになっていた。
その熾烈な争いを勝ち抜いた4名がボチボチ佐倉によって連れてこられるはずだ。