終わったはずの恋だった。
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満生と秋の出会いは大学2回生で受けた英語の講義だった。
松坂大学ではどの学科も英語の授業が必修。そのクラス分けは学期始めにあるテストの結果で決められていた。
テストは全て四択問題。英語が苦手な満生は適当に選択肢を選んだところ、何の不幸か正解数が多く、1番難易度が高いクラスに決まってしまった。
「……池原さん、だっけ?」
「……神崎、くん?」
そのクラスにいたのが秋だった。2人の間に殆ど面識はない。互いの名前も聞いたことがある程度。
しかし同じ学科の人が他にいなかったため、さほど仲が良かった訳ではないが、2人は並んで座った。その英語はコミュニケーションの授業で英語を話すペアが必要だったからだ。
秋は学科の中でもそれほど目立つタイプの男ではなかった。イケメンという訳ではないけれど、でも人当たりがよく、爽やかな印象を持つ男性だった。
秋は男子グループに囲まれて、あまり女子と喋るタイプではなかったため、基本女子と行動する満生とはこれまで接点がなかったのだ。