雨の日じゃなくても私は明日の君を好きになる
大切な妹
〜綴side〜
小さい頃から葉玖村は母さんのことが大好きだった。
だけど………。
『お母さん………っ!!』
〝あの日〟を境に、葉玖村は変わってしまった。
「………」
葉玖村は喋らない。
そして、笑わない。
感情を表に出さないと言った方が正しいのだろう。
とにかく、葉玖村の喜怒哀楽を見ることなんかなかった。
中三の時までは………。
「葉玖村、しっかりしろ!!」
「私………がお母さんを………っ!!」
体育祭の途中で雨が降ってきた。
そして俺は気づいた。
いや、気づいていたんだ。
葉玖村は………雨が嫌い………苦手だっていうことに。
葉玖村はよろよろとしている。
今にも倒れそうだ。
俺は葉玖村の方へと走った。