雨の日じゃなくても私は明日の君を好きになる
カッコよく見えた。
なぜだかわからない。
けど一瞬だけだったから。
女の子の瀧島は可愛い。
男の子の瀧島さんはカッコいい。
なんて………ずるい人なんだろう。
そう思った。

「瀧島さんは親切でいい人だと思うよ」

私は素直に瀧島さんをほめた。
偽りではない、本心で。
だって瀧島さんは本当に親切でいい人なんだもん。
ちゃんと待っていてくれるって言っていたし。
だからと言って待たせ過ぎるのもよくないけどね。
だからなるべくはやく言わないと。
私の………秘密を………。


その夜は雨が降っていた。
雨は嫌いだ。
〝あの日〟から今も。

『葉玖村………っ』

「………」

思い出したくない。
思い出したりしたら………ダメ。
自分を保てない。
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