雨の日じゃなくても私は明日の君を好きになる
「………」

兄が電子レンジにスプーンを入れたまま温めていたみたい。
それでああなったのか………。
私と雅さんは何も言えずにただその場に突っ立っていることしかできなかった。

「もう、お兄ちゃんは料理できないんだからやめて………」

そこまで言ってハッとした。
今………〝お兄ちゃん〟って言っちゃった………。
小さい頃のことを思い出していたから………。
私はチラッと兄の方を見るとなぜだか嬉しそうにしていた。

「ごめん、なんでもないから………」

私は訂正しておいた。
実は………〝あの日〟から〝お兄ちゃん〟と呼んでいない。
いつも「ねぇ」とかで気づいてくれるから。
だから………。

「私………晩御飯作るから待ってて」
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