雨の日じゃなくても私は明日の君を好きになる
なんで………?
なんでこの人は普通に話しかけてくるの?
目が合ってしまっただけなのに。
どうして?

「狛犬、私の名前わかる?」

「え………?」

急になに、この人………?
そんなの言われなくても………あれ?
なんだっけ?
さっきまで覚えてたのに………。
忘れちゃった。

「えっと………」

私はあわあわと焦っていた。
どうしたらいいの?
もしかしたらまた〝あの日〟と同じになるの?
それでもいいけど………。
だけど………。

「瀧島結。それが私の名前だよ!まだ一週間しか経ってないもんね!覚えるの大変だよね?」

「………」

なんで………そんなに笑っていられるの?
私は………ダメだよ。
その笑顔を私に向けないで。
私にその笑顔はもったいない。

「ありがとうございます、瀧島さん」
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