お見合い夫婦の結婚事情~カタブツ副社長に独占欲全開で所望されています~
「父さん!私の気持ちを勝手に決めないで下さい」
「しかし一条の報告では意外と仲良くやっているというじゃないか。この間のお前の反応からしててっきり冷たくしているものと思っておったのに…。よほど気に入っておるのだと喜んだ矢先の今日の話だ。わしはてっきり…」
蓮は首を振る。
「彼女は曲がりなりにも部下です。やっと業務に慣れたところです。混乱させるようなことは言いたくありません」
和正が不思議そうに蓮を見た。
「しかし彼女は見合い相手なんだぞ。もちろん仕事ができるにこしたことはないが。お互いの気持ちを確認するのが先じゃないか」
和正がはっきりと"見合い相手"と言ったことを苦々しく思いながら蓮はウィスキーを煽った。
けれどどうにも不可解なのだ。
とてもじゃないが真帆にその自覚があるようには思えない。
彼女の自分を見る瞳の中にあるのは、部下としての上司に対する尊敬、親しみ。ときおり、それ以外の何かもあるような熱のこもった眼差しを向けることもある。
けれど大抵はすぐに何事もなかったかのように引っ込んでゆく。
「しかし一条の報告では意外と仲良くやっているというじゃないか。この間のお前の反応からしててっきり冷たくしているものと思っておったのに…。よほど気に入っておるのだと喜んだ矢先の今日の話だ。わしはてっきり…」
蓮は首を振る。
「彼女は曲がりなりにも部下です。やっと業務に慣れたところです。混乱させるようなことは言いたくありません」
和正が不思議そうに蓮を見た。
「しかし彼女は見合い相手なんだぞ。もちろん仕事ができるにこしたことはないが。お互いの気持ちを確認するのが先じゃないか」
和正がはっきりと"見合い相手"と言ったことを苦々しく思いながら蓮はウィスキーを煽った。
けれどどうにも不可解なのだ。
とてもじゃないが真帆にその自覚があるようには思えない。
彼女の自分を見る瞳の中にあるのは、部下としての上司に対する尊敬、親しみ。ときおり、それ以外の何かもあるような熱のこもった眼差しを向けることもある。
けれど大抵はすぐに何事もなかったかのように引っ込んでゆく。