お見合い夫婦の結婚事情~カタブツ副社長に独占欲全開で所望されています~
石川常務の話
午後、昼休みが終わった頃に石川常務が蓮の部屋を訪れた。
少々急なアポイントだったが、今日も会食の予定はなかった蓮は部屋で昼食を済ませたあと副社長室の応接スペースで石川を迎えた。
真帆は石川が好きな落雁とお茶、蓮用にはコーヒーをお盆に乗せて入室した。
石川は、藤堂一族が多い藤堂不動産において珍しく一族ではない生え抜きの役員だ。それだけに若い頃は相当なやり手だったという噂だが今は年齢のこともあり第一線を退いている。
その石川が蓮と2人で話したいというのは珍しいことだった。
「あぁ、入江さん。こんにちは」
石川は細い目をもっと細くして真帆を見た。
「こんにちは、常務。腰のお加減はいかがですか」
真帆も笑顔で応える。
「いや、すっかりいいとは言えんがね。とりあえずば大丈夫じゃ。歳も歳だで、完治はなかなか期待できんがな」
「お大事になさって下さいね」
真帆は茶菓子と飲み物をテーブルに並べてゆく。そのテーブルに石川が蓮に持ってきたと思わしきある物が置いてあるのが目に入って、真帆は手を止めた。
お見合い用の写真だった。
そんな真帆に石川が気がついた。
少々急なアポイントだったが、今日も会食の予定はなかった蓮は部屋で昼食を済ませたあと副社長室の応接スペースで石川を迎えた。
真帆は石川が好きな落雁とお茶、蓮用にはコーヒーをお盆に乗せて入室した。
石川は、藤堂一族が多い藤堂不動産において珍しく一族ではない生え抜きの役員だ。それだけに若い頃は相当なやり手だったという噂だが今は年齢のこともあり第一線を退いている。
その石川が蓮と2人で話したいというのは珍しいことだった。
「あぁ、入江さん。こんにちは」
石川は細い目をもっと細くして真帆を見た。
「こんにちは、常務。腰のお加減はいかがですか」
真帆も笑顔で応える。
「いや、すっかりいいとは言えんがね。とりあえずば大丈夫じゃ。歳も歳だで、完治はなかなか期待できんがな」
「お大事になさって下さいね」
真帆は茶菓子と飲み物をテーブルに並べてゆく。そのテーブルに石川が蓮に持ってきたと思わしきある物が置いてあるのが目に入って、真帆は手を止めた。
お見合い用の写真だった。
そんな真帆に石川が気がついた。