お見合い夫婦の結婚事情~カタブツ副社長に独占欲全開で所望されています~
知らせ
秘書室の電話が鳴ったのは、その週の終わり、金曜日の定時を少し過ぎた頃だった。
秘書室にかかる電話は一番に出ると決めている真帆だけれど、コピー機の側にいて一歩遅れる。代わりに電話をとったのは佐藤だった。
「はい、藤堂不動産秘書室です…入江ですか?…少々お待ち下さい」
さほど広くない秘書室で電話の対応をする佐藤に部屋の全員の視線が集まった。外部から真帆に名指しで電話があるというのが初めてだったからだ。
真帆は秘書室に所属しているが、外へ出る蓮に付いて出ることはまだない。従って社外との接触はほとんどないのだ。
たまたま一条と打ち合わせをしに秘書室に来ていた蓮も、訝しむように眉を寄せて佐藤を見ている。
佐藤は受話器を置いて真帆を見た。
「入江さん、中央総合病院からです」
「病院…?」
心当たりのない電話に胸騒ぎがした。一同が見守る中自席に戻り、真帆は少し緊張して受話器を取った。
「お電話代わりました、入江です」
『こちら中央総合病院の山下と申します。入江小夜子様はお母様で間違いないでしょうか』
「…はい、母です」
秘書室にかかる電話は一番に出ると決めている真帆だけれど、コピー機の側にいて一歩遅れる。代わりに電話をとったのは佐藤だった。
「はい、藤堂不動産秘書室です…入江ですか?…少々お待ち下さい」
さほど広くない秘書室で電話の対応をする佐藤に部屋の全員の視線が集まった。外部から真帆に名指しで電話があるというのが初めてだったからだ。
真帆は秘書室に所属しているが、外へ出る蓮に付いて出ることはまだない。従って社外との接触はほとんどないのだ。
たまたま一条と打ち合わせをしに秘書室に来ていた蓮も、訝しむように眉を寄せて佐藤を見ている。
佐藤は受話器を置いて真帆を見た。
「入江さん、中央総合病院からです」
「病院…?」
心当たりのない電話に胸騒ぎがした。一同が見守る中自席に戻り、真帆は少し緊張して受話器を取った。
「お電話代わりました、入江です」
『こちら中央総合病院の山下と申します。入江小夜子様はお母様で間違いないでしょうか』
「…はい、母です」