お見合い夫婦の結婚事情~カタブツ副社長に独占欲全開で所望されています~
真帆の胸がどきんどきんと嫌な音を立てて鳴った。
『先ほど、こちらに入江小夜子さんが救急搬送されました。つきましては…』
電話の声を最後まで聞けずに真帆は受話器を取り落としてしまう。ガタンと受話器がデスク当たる、派手な音が部屋に響いた。落ちた受話器からは、もしもし!入江さん?と相手の声が微かに漏れた。
拾って話を聞かなくてはと思うのに手が震えて思うように動かなかった。
代わりに大きな手がそれを拾いあげる。今にも倒れそうになってしまった真帆をもう一方の手で支えながら電話に出たのは蓮だった。
「失礼しました。代わりにお話をお伺いします。入江の上司の藤堂と申します。…少し動揺しておりますので。はい、…はい」
蓮は話しながら真帆を椅子に座らせる。そしていくつかの情報をメモにとってから電話を切った。
「一条、今夜の私の予定をキャンセルしてくれ」
蓮は怪訝な表情のまま事態を見守っていた一条にそう指示をする。そして屈むと、へたり込むように座ったままの真帆を覗き込んだ。
「お母さまが倒れられたそうだ。命には別状はないとのことだけれど、それ以上の病状は君が病院についてからだそうだ。すぐに病院へ行こう。…立てるか?」
『先ほど、こちらに入江小夜子さんが救急搬送されました。つきましては…』
電話の声を最後まで聞けずに真帆は受話器を取り落としてしまう。ガタンと受話器がデスク当たる、派手な音が部屋に響いた。落ちた受話器からは、もしもし!入江さん?と相手の声が微かに漏れた。
拾って話を聞かなくてはと思うのに手が震えて思うように動かなかった。
代わりに大きな手がそれを拾いあげる。今にも倒れそうになってしまった真帆をもう一方の手で支えながら電話に出たのは蓮だった。
「失礼しました。代わりにお話をお伺いします。入江の上司の藤堂と申します。…少し動揺しておりますので。はい、…はい」
蓮は話しながら真帆を椅子に座らせる。そしていくつかの情報をメモにとってから電話を切った。
「一条、今夜の私の予定をキャンセルしてくれ」
蓮は怪訝な表情のまま事態を見守っていた一条にそう指示をする。そして屈むと、へたり込むように座ったままの真帆を覗き込んだ。
「お母さまが倒れられたそうだ。命には別状はないとのことだけれど、それ以上の病状は君が病院についてからだそうだ。すぐに病院へ行こう。…立てるか?」