お見合い夫婦の結婚事情~カタブツ副社長に独占欲全開で所望されています~
青い顔のまま真帆はこくんと頷く。
蓮も小さく頷いて、素早く副社長室へ行くと携帯と財布を持って戻ってきた。
「一条、後を頼む。それから正面のエントランスに俺の車を呼んでくれ」
「かしこまりました」
「…荷物はこれだけか。行くぞ」
そう言って真帆のバックを掴む蓮を、訳がわからないままに真帆は止めた。
「ふ、副社長!…大丈夫です!一人で行けます!」
本当はそんな自信は全然なかったけれど、混乱を極める真帆の頭の中のわずかに残った冷静な部分がストップをかけた。
「こんな状態の君を一人で行かせるわけにはいかないだろう」
「でも…!」
真帆は首を振って固辞をする。
「でもじゃない、…ほら行くぞ」
蓮の大きな手が真帆の冷たい右手を掴む。そしてそのまま出口の方へ真帆を促した。
「入江さん、副社長の分も含めまして業務の方は大丈夫ですから早くお母さまを安心させてあげて下さい」
部屋を出る間際に聞いた一条の言葉にとりあえずは安心して真帆は蓮と手を繋いだままエレベーターまでの長い廊下を歩いた。どきんどきんという嫌な胸の音は相変わらずうるさいくらいに鳴っている。心配でどうにかなりそうだった。
蓮も小さく頷いて、素早く副社長室へ行くと携帯と財布を持って戻ってきた。
「一条、後を頼む。それから正面のエントランスに俺の車を呼んでくれ」
「かしこまりました」
「…荷物はこれだけか。行くぞ」
そう言って真帆のバックを掴む蓮を、訳がわからないままに真帆は止めた。
「ふ、副社長!…大丈夫です!一人で行けます!」
本当はそんな自信は全然なかったけれど、混乱を極める真帆の頭の中のわずかに残った冷静な部分がストップをかけた。
「こんな状態の君を一人で行かせるわけにはいかないだろう」
「でも…!」
真帆は首を振って固辞をする。
「でもじゃない、…ほら行くぞ」
蓮の大きな手が真帆の冷たい右手を掴む。そしてそのまま出口の方へ真帆を促した。
「入江さん、副社長の分も含めまして業務の方は大丈夫ですから早くお母さまを安心させてあげて下さい」
部屋を出る間際に聞いた一条の言葉にとりあえずは安心して真帆は蓮と手を繋いだままエレベーターまでの長い廊下を歩いた。どきんどきんという嫌な胸の音は相変わらずうるさいくらいに鳴っている。心配でどうにかなりそうだった。